フリーランス転向1年で月収50万円、旅するノマド、とか、すごいと思いますよ。でも、多くの未経験フリーランサーは「そちら側」ではありません。
正直いって「これって働いているって言える状況でしょうか」と毎日月に向かって嘆くレベルで稼げない時期があります。
それを乗り越えたって、旅するノマドが実現するとは限りません。
というわけで今回は「実録! 未経験フリーランスのマル秘・収入推移」です(なんか違う)。
私(@saosaoyamayama)の経験が、なーんだ、肩肘張らなくてもいいんだ、という安心材料になったらいなと思っています。
筆者のスペック(before/after)
「スキルなし」といっても、私が何を持っていて何を持っていないのか、全く伝わらないと思います。
どういう状況でフリーランスに転向したのか、今何が身に付いているのか、書いてみます。
before|理系・非IT
経歴的には理系ですが、GE(genetic engineering)であってIT(information technology)ではありません。
- 某食品企業で遺伝子研究
- バイオベンチャーで遺伝子研究
- 病院の採血室で採血業務
もちろんメディア運営については無知です。
スキルといえるほど磨かれたものはなく、趣味でやっています〜レベルですね……。
- MS Office
- Webコーディングは追加CSSなら書ける程度
- フリーソフトで画像加工(同人誌の経験/ペンタブ所有)
- 長文執筆に耐えられる(同人誌の経験)
- 一眼レフRAW現像まで(趣味/ガンレフ所有)
WordとPowerPointはある程度、ExcelはSUM止まり。これでどうにかなっていたわけです。
画像加工や長文執筆は同人誌さまさまですね! コーディングははてなブログのカスタムがやりたくて、先人のコードをコピーしていました。
after|なぜかメディアに全振り
- Webライター(2018〜)
- Webエディター(2018〜)
- Webディレクター(2018〜)
Webプロデューサー(2020〜)プロジェクトリーダー(2019〜)- プロジェクトマネージャー(2020〜)
- Webデザイナー(2021〜)
ざっとこんな感じのポジションを、2018〜2021年までに経由しました。打ち消し線をつけた2つ以外は現在進行形でやっています。
スキル、というと主語がデカいのですが、3年のフリーランス生活である程度できるようになったことを挙げてみます。
- スプレッドシートの関数:結構自由自在
- GoogleAppsScript:調べながら書ける
- HTML/CSSコーディング:動きがあるサイトもある程度作れる(SCSSも)
- JavaScript:コピペレベルで使える
- SEO記事執筆・SEO解析:それなりにできる
- 記事校正:できる
- メディア向けの人材育成:できる
コーディングはできますが、お金が発生する「仕事」はやっていません。独学・素人コーディングです。
それ以外も誰かに教えてもらったわけではなく、できるようになりたいなと思って独学しました。
そう、「誰かに教えてもらったわけではない」の部分がかなり重要だと思っています。これは別の記事に書きたいなあ。
収入の推移
先にお断りしておきますが、この記事は「ガッポガッポ稼ぐ」ではなく「生活できるレベル」に軸を置いています。
あまりにも等身大以下の報酬額を恥ずかしげもなく並べますが、ご了承くださーい。
- フリーライター転向当初(2018/04):2万円
- 執筆開始から約半年(2018/11):8万円突破
- 〜1年弱(2019/01):10万円突破
- 〜2年目(2019/02〜2020/10):7〜11万円を行き来
- 2年半後(2020/11):20万円突破
- 3年目(2021/05):40万円突破
今現在40万円継続中ってわけではありません。これがフリーランスの現実です。
案件の単価についても触れてみようと思います。
フリーランスライター転向当初は2万円前後/月
ライターとして案件を獲得した当初、1ヶ月の報酬は2万円前後でした。月2万円じゃ、食っていけませんわな……。
文字単価0.3〜0.8円の案件をとって、継続&とにかく実績を作ることに重きを置いていました。
ライター歴1年以内で8〜10万円/月
Webライティングの世界って1.0円/文字でやっと「土俵入り」です。というわけでやっと1.0円/文字の継続案件を取りました。
また、0.5円/文字案件のクライアントにスキル・スピードが認められて、0.7〜0.8円/文字で文字数多めの執筆依頼をもらうようになりました。
執筆と並行してディレクション業務も開始。クラウドソーシングではなく直契約で取材(取材・撮影・執筆)をやることもありましたね!
SEO関連のリーダーも依頼されて「固定報酬(激安)」のありがたみを感じ始めるのでした。
とはいえ、8〜10万円は生活できる金額ではありません。
2年半で20万円突破
Web業界2年に満たない状況でPMに抜擢されました。でもPMの経験も類似の経験もなかったので、びっくりするぐらい安い固定報酬でした。
そのため報酬は月10〜15万円を行ったり来たり。
クライアントのオフィスにお呼ばれして週2〜3回顔を出すようになると、固定(リモート分)+時給(出社分)が発生して、やっと20万円を超えました。
一応、生活できるレベルといえるのではないでしょうか。
3年目にレベルアップして40万円台
もろもろあって部長に昇格、オフィスに行かず在宅だけでも月額40万円台にのりました。予想外の展開でしたね……。
ただ、PMの段階で「もう辞めます」と意向を伝えていたので、ほんの数ヶ月のことでした。
もったいないと言われつつ、何のためにフリーランスになったのかって考えると、辞める選択しかなかったんです。
未経験フリーランスの私が心がけていたこと
メディア関連のスキルが何もない状態でスタートし、2年弱でPMになり、2年半でコンスタントに「食える」レベルの報酬に到達しました。
でも、誰でも食えるようになるのかといわれると、それは違うと思っています。
スキルなしでフリーランスになって、生活できるレベルまで報酬を引き上げるには、それなりの心構えと我慢は必要です。
稼げない時期に折れない心を持つ
月2万円しかもらえない時期があったわけですよ。
生活できないことが不安なのではなく「これから生活できるようになるのか?」という不安がぐぅあああああ! って膨らんでいました。
幸い私はダブルインカムの片翼なので、食えないという状況は回避できます。
そうでない場合は、ある程度の蓄えを作ったうえでフリーランスに転向したほうがいいでしょうね。
あと、稼げないことを「実力」のせいにしないほうがいいです。辛くなるだけです。
フリーランスに転向して稼げないのは「経験」がないから。
とにかく経験を積むこと。そうすると仕事のスピードが速くなって、時間あたりの報酬は確実に伸びます。
別案件を受けるにしても、ライティングに関しては執筆経験ジャンルや記事数が多い方が有利です。
「経験」を積むには時間がかかるわけなので、やっぱり忍耐力は求められますね……。
案件の切り捨ては慎重に
できるだけ高単価の案件を探して案件サーフィンしたいところですが、一度契約したクライアントを易々と切り捨てない方がいいかもしれません。
もちろん、何らかのトラブルがあって縁を切るなら別ですよ。でも良好な関係が続いているのであれば、切るんじゃなくて距離を置く程度でいいと思います。
解約を申し出ても「アカウントは残しておくので書きたくなったら書いてください」と言ってくれるクライアントもいるんですよ。
クラウドソーシングの案件では「継続」こそが最上位って思われがちですが、「継続」が必ずしも長期継続とは限りません。
エンドクライアントが「もうやーめた」と言ったらクライアントも辞めざるをえず、そうするとワーカーは契約終了です。これって予想できません。
契約ストップは突然に、です。
万が一案件が途絶えたときに拠り所となるクライアントさんは、持っておいて損はないですよ!
単価交渉には「質と量」が必要
これはディレクションやマネジメントを経験したからこそいえることです。
文章力に自信があるライターさんは、かなり早い段階で単価交渉してきます。でも、全員が質の高い記事を書くわけではないので「おいおい」って思うことは現実としてあります。
でも「おいおい」レベルの方がゆくゆくは戦力になることだってあります。執筆数が増えていくと、執筆スキルって磨かれます。
なので、100点の記事を2記事書いた人と、80点の記事を30記事書いた人がいたら、後者の単価を上げるかな〜。
量やスピード、突発の依頼に対応してくれる柔軟性も重要。
いくら100点の記事が書けても、納期遅延が目立ったり、1記事しか書きませんとか言われると……、だったら別の人にお願いしますわってなってしまいます。
今、Webライターは飽和状態で、書いてくれる人が沢山いるんです。「質」という定性的なものだけでなく「量」という定量的な指標はとても重要です。
脱・クラウドソーシングには人脈とスキルが必須
クラウドソーシングは便利だけど、そもそもの単価が低いしマージン抜かれるし……。マージンめちゃ高いですからね!
当たり前のことですが、経験もスキルもない状態で直接契約のフリーランスになるのは難しいです。
クラウドソーシングで経験を積む、セミナーに参加して人脈を広げる、とにかく貪欲に攻めていく必要があります。
私に「取材してみませんか?」と声をかけてくれたのは、セミナーに参加していたWebプロデューサーさんでした。
またディレクションやマネジメントについては、クラウドソーシングでライターとしての実績と信頼を積んだからこそ、別枠でいただいた仕事です。
スキルはあって損なし
スキルはあるに越したことはないと思っています。スキルと呼べるレベルにならなくてもかじったことがある程度でもいいんです。
たとえば、今私はバナー制作や画像関連の仕事を請け負っているんですが、依頼された時点で実務経験はありませんでした。
- Photoshopはない
- Photoshopと同じようなことをフリーソフトでやっている
- 背景透過の機能はないけれどできる
- 文字入れはお茶の子さいさい
クライアントは、OGP画像に文字入れできるレベルだったらいいな〜ぐらいだったようです。
Photoshopがなくてもできます、と言い切った自分、グッジョブ。相手が求める業務ができればいいし、できる環境が整っていればいい話ですわな。
「このイラストの表情を笑顔にしてくれ」とか「半袖を長袖に変えてくれ」とか、要望は多岐にわたり、時給で仕事を請け負っていますよ。
40万円を捨てた現在の様子
40万円の固定報酬を蹴って私は今何をしているのか。
- サイト運営(このサイトとは別)
- 校正サービス
- Webコンサルティング
- 人材育成
- ディレクション(2社と契約)
- データ管理 等
ざっとこんな感じですかね。全てリモートで、日中はディレクションがメイン、その他は夜間や空き時間に進めています。
ディレクションは時給制で、契約が続けば仕事自体はコンスタントなので収入の安定に欠かせません。
コンサルや人材育成・データ管理は後任PMのフォローという形です。人手が足りないときに召喚され、業務範囲によってはこの仕事だけで40万円/月に達します。
どれも業務委託契約。クライアントが「仕事しなくていいよ」と言ったら収入が途絶えるので、複数クライアントから仕事を受注するっていうのは危険分散としてやっておくべきだと思っています。
今関わっているのは全部で3社、危険分散にはなっているかと思います。
肩肘張らずに地道にまいりましょう
焦って稼げるならガンガン焦りますよ。でも焦ったって稼げません。
経験がないフリーランスはとにかく地道に経験を積む。1段・2段飛ばしで階段を上ろうとしないことが大切だなと思います。
それと「知りたい」「できるようになりたい」といった自分自身のWANTに対し、感度を高く持つことが大切です。
このあたりはまた別の記事で書こうと思っています。