2018年1月31日、150年に一度しか観られないと言われている「スーパーブルーブラッドームーン」が観測できました。月と地球が接近する「スーパームーン」、月に2度めの満月「ブルームーン」、月が赤く見える「ブラッドムーン」、これらが3つ重なるのは非常に稀な現象なのだそう。
スーパーブルーブラッドムーン
前回この現象が観られたと言われているのは1866年。薩長同盟が成立した年ですね。桂小五郎や西郷隆盛がこの月を見たかどうかは知りませんが、昔の人ならば「凶事の前触れ」って言いそう。絶対言うでしょ、ね。
生きているうちに観られるのは今回が最後!というわけでPENTAX KPにtamron28-300mm F3.5-6.3を装着してダウンを着込んで二階のベランダへ。こういうとき、Helinoxチェア(もどき)が活躍します。以下は本家。寄りかかっても倒れないので、空をみあげているのが苦になりません。フジロックで常用しています。
いつもの月が消えていく
きっと雲に隠れて見えないだろうと確認もしないまま、寝る前にふと外を見て月が出ているのを知りました。既に月食が始まっていたはずです。灰色の、静かな月が黒い夜空に少しずつ溶けていきます。以前、月の撮影をしたことがありましたが、どんな設定が推奨されていたのかは完全に忘却の彼方。調べている時間も惜しく、ほぼ使ったことがない「マニュアル露出モード(M)」で手探りの撮影を始めました。
確か、月は夜空の中で飛び抜けて明るいから絞りを絞るんだとか聞いたような。暗い方がいいならシャッタースピードも上げる?だけど微かな光も逃したくないからISOを上げてみたり。本当にびっくりするほど手探り。これも訓練。
消えていく灰色と反対、黒く見える側には月の形も模様もうっすら見えました。それが儚げで、どうにかして撮りたくて四苦八苦したのですが、設定を変えても変えても黒く写ってしまう。
数分後「シャッタースピードを下げる」という方法で撮影可能なのだと学びました。行き当たりばったりで。
火の色、太陽の色
月が赤みを帯び始めた頃でした。微かな光を集めるためにはシャッタースピードを下げるのがいいのでは?と思ったんですね。それまで1/1000secとか、何と戦ってるの状態だったので、それをストンと下げてみました。
そしてやっと、黒にしか見えなかった部分が月の一部だという証明ができました。学生の頃の病理か生理の教科書に載っていた眼球の写真によく似ているなと思いました。積極的に雰囲気を潰しに行く。
手ブレが気になり、ファインダーを覗くのをやめました。伝家の宝刀バリアングル液晶を伸ばしてライブビューモードにし、ベランダの手すりや自分の膝の上にカメラを置いてシャッターを切る。ついにシャッタースピードは1/8secまで下がりました(トップ画像も同様ですね)。
本来であれば三脚を使えばいいのですが、とりつけに時間がかかるので(使い慣れてない)、次回天体ショーまでの宿題とさせてください。
太陽は地球の裏側にあるはずなのに、なぜ月が赤く見えるのか。習ったはずの知識も使わなければ消えていくんですね。太陽の赤い光は波長が長く、地球の大気の中を進んでも減衰しにくい性質があります。逆に青みを帯びた光は散ってしまいます。そして大気の中を真っ直ぐには進まず屈折を起こし、月に届き、月が赤く見えるのです。
場所によっては(中国の方かな?)血のような赤さの月が撮影されていました。その赤さより、月の端にほんの少し見える青色が凄まじく美しかったです。
次はいつ逢える?
150年後ですよね。私も、私の息子たちもこの日本でスーパーブルーブラッドームーンを見ることはできないでしょう。海外に移住すればチャンスはあるかもしれないですね。超絶寒がり末端冷え性の根性なしが、寒さを忘れて月食を撮影した記録でした。かしこ。