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下書きが消えた……。

 

はい、ここのところ継続して猫の気管虚脱の記事を書いています。

前回は、レントゲン画像について語りました。

[blogcard url=”https://doit-myself.com/cat-kikan-kyodatsu-rentogen/”]

 

今のままでいいの?

そうなんです。

今の治療法が椿にとって最善なのかどうか。

私たちはこれからどうしていけばいいのか。

何か他に方法はあるのか。

 

色々な方に意見を聞いてみたい。

そう思って動物の呼吸器を専門に扱う動物病院を片っ端から調べていきました。

そうしたところ、なんと自宅から歩いて15分(ただし下山、帰りは登山)の場所に新しくできたK動物病院の院長先生が、呼吸器を専門に学ばれている方だとわかったんです。

今の椿の状況をメールでお伝えした所、

  • 椿は無理に連れてこなくてもいい
  • 現在の状況が分かるレントゲンと検査結果を持ってきてほしい
  • 相談料1500円だけでOK

ということでセカンドオピニオンを引き受けてくださることになりました。

 

レントゲンの所見から見ていこう

というわけで、まずはフィルムを全て見ていただきました。

2015年8月15日のレントゲンに写っていた肺の白い影

M動物病院(お世話になっている病院)での診断と同様に、肺線維症の状態でしょうとのこと。

肺が固くなっている状態です。

肋骨の骨折について 

M動物病院では、どこかから落ちたりしたものではないかという結論、にはなってないけれど、どうしてだろうね〜という感じで解決には至っておりませんでした。

K動物病院の院長の見解では「病的な骨折」の可能性が高いとのことでした。

 

激しい咳が続くと、呼吸をするための筋肉を酷使することになります。

筋肉は次第にボロボロになり、今度は骨に負担がかかってきます。

人間で言うところの「疲労骨折」の状態ですね。

(左が頭)

レントゲンでは吸気時、胸のあたりが左右対称に写るのが通常だそうです。

しかし、筋力が低下してくると非対称になってきます。

 

⇒呼吸するときの肺や肋骨、気管の動きを動画で見てみる必要があるかもしれない

 とのことでした(レントゲン動画)。

病名

胸部気管虚脱の可能性

対処法は?

  • 外科的アプローチ(積極的治療)
  • 緩和処置

この2種類に分けられるそうです。

外科的アプローチ

次の二つの方法が挙げられます。

  • 気管内ステント(相模が丘AHが有名)
  • 気管外プロテーゼ(アトムAHが有名)

まあ、通常の場合、ですけどね。

というのも、椿の場合はただの気管虚脱ではないのです。

「胸腔内」の気管虚脱なので、いずれも難しいですとの前提で、お話を伺いました。

気管内ステント

*どんな手術か

気管の中にステントというコイル状の筒を入れます。

*優れた点

口の中から入れてしまえばメスを使わずに済みますので、体への負担は少ないのが特徴として挙げられます。

*懸念事項

気管の中にステントを留置しておくわけです。

気管の中は粘膜であり、そこに菌だの何だのがつくと免疫反応が起こるのと同じで、ステントを異物とみなして免疫反応が起こります。

ほぼすべての症例で、異物排除反応としての咳が残るそうです。

そのため、咳止めの内服はずっと続きます。

*費用

推定で40〜50万円。何とかしてひねり出せるかな……という感じでしょうか。

 

ちなみに、胸腔内のステント挿入が可能である施設は、2016年春の時点では相模が丘AHのみだとおっしゃっていました。

やっぱり難しい部位に虚脱があるのだということです。

気管外プロテーゼ

*どんな手術か

気管の外にプロテーゼというものを巻きつけ、気管とプロテーゼをくっつけて外側から引っ張るような形になります。

*優れた点

気管の外、免疫による攻撃がキツくないところにプロテーゼが残るので、咳などの後遺症はほとんどないそうです。

*懸念事項

気管の外ということで、メスを入れる手術となります。

体の小さな動物は難しい上に、椿のように胸腔内となると各種臓器が近くて、リスクばかりが高く、成功率はがくんと下がるそうです。

*費用

推定で70〜100万円。んんっ!!

 

椿の症例でオペをしてもらえるとすればおそらくアトムAH一択。

でもきっと手術不可能だと言われるでしょうね、と先生はおっしゃいました。

外科的アプローチの総評

この時の椿の年齢が12歳(いや、多分13歳だと思うんだけど)。

この年齢であれば、決して年寄りではない。

それと、血液検査の所見は良好であり、レントゲンを見てみても気管以外に問題がない。

これらを踏まえると、外科的手術を受ける価値は十分にある。

ただし、気管がある程度の太さまで広がらなければステントは挿入できないし、部位の問題もある。

というわけで、他の検査や病院の判断に委ねられるかな、とのことでした。

 

緩和処置

部位的にオペは厳しそうだ……。

ということで、緩和処置についてお話を伺うことにしました。

この時点で行っている緩和処置は、皮下点滴と内服でした。

 

点滴について

点滴に使うのは次の通り。

  • 強肝剤:ステロイドの副作用から肝臓を守る
  • ステロイド:気管で起こる炎症を食い止める
  • 抗生物質:狭くなった気管での炎症を防ぐ

これらを点滴する場合にかかる費用は、いずれの動物病院でも5000円程度。

椿は週に1度の頻度で点滴をしていましたから、1ヶ月に2万円です。

「少しでも安くなるといいよね」とおっしゃって先生は提案をしてくださいました。

持続性抗生物質

現在M動物病院で点滴してもらってる抗生物質は「2週間効果が持続する」と聞いていました。

実は薬をのむのが下手糞な椿のために、持続性の点滴を使ってくださってます。

この薬がおそらく「コンビニア」という抗生物質で、点滴費用の半分を占める高価なものだそうです。

これを、3日持続のものや、内服に変更することで安く済ませることができます、とのこと。

 

内服について

椿が内服に使っていた薬は以下の通り。

  • プレドニゾロン:ステロイド
  • ネオフィリン:気管支拡張剤
  • 抗生物質

この中で、ネオフィリンという気管支拡張剤があります。

ネオフィリンよりも新しいもので「テオフィリン」という薬があり、効果が違う可能性もあるとのことでした。

また、抗生物質に関しては、気管や肺の炎症に特化した抗生剤もあるはずとのこと。

緩和処置の総評

緩和処置を続けることによって発作が起きず、本人が苦しくなく過ごす時間が増えるとすれば、良い選択でしょうとのこと。

この時点では発作が出そうならステロイド内服、ひどければ点滴という感じにしていました。

長く続けるのであれば内服飲みに切り替えたいという私の考えを伝えると、長期効果型の点滴の効果がまだ残っている状態で内服のみに切り替えても効果が見えにくいかもしれないとのこと。

なので、点滴の効果が完全に消えたであろう頃から内服のみでどうなるか、見てあげて欲しいとおっしゃいました。

 

内服の懸念として、ステロイドの副作用があります。

しかし、本来ステロイドは1日一回少量ずつ投与する形が普通なので、点滴で高濃度のステロイドをいっきに投与するよりも、内服継続で体に残るステロイドの濃度を低くコントロールしてあげるのが理想だそうです。

ただし、肝臓への負担を考えたときには内服のほうが危険性は高いので、定期的に血液検査をしないとだめですね、とのこと。

 

ゆくゆくは酸素室が必要になっていく病気です。

 

想像したくないけれど、そうなんですよね。

 

治療法の選択

お話を伺って、色々なことを知りました。

メモを持ってM動物病院の院長先生とともに、今後の治療方針について話し合うことにしました。

S.Nakayama

一帖半執筆工房代表。 WEBコンサル・マーケ企業のフリーランスPMとして計9サイトの運営を指揮。DigitalCameraWorldの認定フォトグラファー。 現在は2社5メディアの進行管理をしながら文章校閲・校正者・ライターとしても活動中。