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前回ガラスペンを使ってインクの裏抜け検証をしました。

ガラスペンのよさは、手軽にいろいろなインクが使える点です。

万年筆の場合はカートリッジを付け替えるだけではダメで、ペン先を洗浄しないといけません。コンバーターを使っている方は、コンバーターを水につけてインクを抜いて……という作業もありますね。

まぁ、これが楽しかったりしますが、個人的には乾くまでの時間がストレスです。

今回は、検証に使った北一硝子のガラスペンを再度引っ張りだして新たな検証をします。ガラスペンってどれくらい書けるモンなのでしょうか。線を引いたり文字を書いたりして試しました。

ガラスペンの実力とストレスなく書くコツを語ります。

実際どれくらい書けるのか〜線〜

インクを使い切ったと思っても、ほんの少し残っていました

文字の大きさは人それぞれで、字が大きければインクを多く消費しますし、ペン先が細ければインク消費は少なく済みます。

ガラスペンは「葉書一枚分、インクを継ぎ足さずに書ける」といわれますが、なんかイメージできない。

文字じゃなくてを引いた場合、どれくらい書けるんでしょうか。大好きなクリエイター・河童堂さんのメモ帳を使い、ガラスペンで線を引いてみました。

河童堂

河童堂

猫とカエルを描いてオリジナルアイテムをつくっています。

線を引いてみよう

顔料インク「ONLINE royal blue」をガラスペンに吸わせ、2〜3回ほど瓶の口でインクを拭ってから線を引きました。

インクの出が悪くなったらペンを少し回転させてフローを取り戻し、完全にインクが出てこなくなるまで続けました。

……ガラスペンを舐めていました。この通り、かなり長く書けました。

ところどころ線が消えかけています。ここでペンをわずかに回して、インクが十分染みているスリットからインクが供給されるようにしました。

では、ペン先のスリットが(たとえば)10本ある場合、10回ペンを回したら終了なのでしょうか。

そうではないようです。

一度すっからかんになったスリットにもインクが残っています。別のスリットを使っている間、残っているインクは重力でペン先に落ちてきますよね。だからまだ書けます。

線の長さは……?

メモに書いた線の長さを計算してみましょう。

おおよそではありますが横線の長さが9.5cm、本数としては56本を数えました。

56本×9.5cm=532cm=5.32m

ご、ごめーとる……。メートル!?

葉書1枚分って考えたら妥当な数字のかもしれない。でも改めて数字にしてみると、結構書けますね。

では5.3mって具体的にどれくらいのサイズ感なのでしょうか。これぐらいです↓↓

坂本龍馬像

台座は8mほどあるそうですが、龍馬さんだけで5.3m。

土俵

ちなみに、大相撲の土俵は直径4.55m。

つまり、ガラスペンに1回インクを吸わせれば、土俵の中心を通る直線が、インクを1度もつぎ足さずに書けるってことです!

道路

あとはこれ。道路の破線および破線の間隔が5mです。

つまり、ガラスペンに1回インクを吸わせれば、道路の破線が、インクを1度もつぎ足さずに書けるってことです(ただし塗料ではなくインクで)!

実際どれくらい書けるのか〜文字〜

美しい瀟湘

線はわかった。じゃあ文字はどれくらい書けるのか。

線についてもいえることですが、ガラスペンの形状やスリットの長さによっても変わるとは思うんですね。あくまで参考値ですが、ちょっと試してみました。

  • インク:TWSBI 瀟湘(エメラルドグリーン)
  • 用紙:RHODIA reverse book

こちらが検証のお供です。RHODIAは5mm方眼ですね!

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3回検証

有名なダミーテキストをお借りして、3回チャレンジしてみました。句読点も1文字と数えています。

1回目:78文字
2回目:101文字
3回目:87文字

1回目の文字数が控えめなのは、筆記中ちょくちょく手を止めたからです。

20文字で折り返そうと思ったのですが、数え間違えていたりして、何度も「1,2、3」とカウントしてですね……。インクが乾いてしまったのではないかと予想。書き方としては2回目と同じです。

2回目は比較的サッサと書き進めていきました。後半になって急にギスギスしはじめます。こういう人間関係、あるよねー。親しき仲にも礼儀あり、が崩壊する瞬間。

3回目は、最後までインクフローが保てた印象です。こちらは少しゆっくり書きました。

3回目は「落ち着いて書いた」

2回目も3回目も吸わせたインク量は同じで、少しずつペンを回しながら書いています。

違いは筆記スピード。3回目の「落ち着き」です。「またコイツわけわかんないこと言ってるわ……」と思わないでください。

2回目よりも3回目のほうが少しゆっくり書きました。ゆっくりといってもチンタラ書いているとインク消費が多くなるので、インクの出方を楽しむような感覚です。

1文字あたりの消費インク量としては2回目のほうが少ないので、書ける文字数が多くなります。インクの消費スピードは速いはずですね。

3回目は消費量が多く文字数が少ない。ゆっくり書いているので、インクの消費スピードは当然ゆっくりです。

左が3回目、右が2回目のイメージ図

インクの減りがゆっくりだと、スリット壁面に残るインクをじわじわ回収しながら書けますよね。それが左の図、3回目です。

逆にインクが一気に減ってしまうと、壁面に残るインクを回収して文字が書けるレベルに回復するまで時間がかかります。それが右の図、2回目です。

最後まで安定したインクフローで書き続けるには、急いで書かず、ゆっくり落ち着いて、インクが染みていく様子を楽しみながら書くといいのだと思います。

ガラスペンでストレスなく文字を書く方法

毛細管現象で吸い取ったインクを少しずつ紙に移していくことで文字を書くガラスペン。頻繁に文字がかすれるようだとストレスですね。徐々に使用頻度が減っていくのは明らかです。

メッセージカードや手紙のように誰かにお渡しするものなら、仕上がりは美しい方がいい。あちこちの文字がスカスカで、突然太くなるようだと美しくありません。

できるだけインクフローを一定に保ち、文字を書き続けるにはどうしたらいいでしょうか。

  • インクは十分量吸わせる
  • 書き始める前にボトルの縁でインクを拭う
  • こまめにペンを回しながら書く
  • 遠慮なくつぎ足す

この辺りがポイントですね!

書き出しの「前のめり」な太字を回避

結構拭っています

インクを吸わせた直後はペンの表面にもインクが付着しています。当然そのインクはツルッと落ちてきますから、用紙にインクが落ちて出鼻をくじかれます。紙をくしゃくしゃにして「あ”ー!」ってなります。

ここまで大量に垂れないとしても、書き出しの線がかなり太くなってしまう可能性が。ボトルの縁でササッと拭うのが吉です。

ボトルの口を汚したくない方は、要らない紙にゴニョゴニョっと試し書きしてください。

スリットを均等に使う

光があたると赤みが!!

書き出しの角度を保ったまま書き続けると、特定のスリットのインクだけが減っていき、文字は細く薄くなっていきます。そのタイミングでペンをくるっと回すと、いきなり文字が太く濃くなるわけです。

紙面全体できるだけ均一で整った印象で文字を書くためには、こまめにペンを回しながら書くのがポイント。すべてのスリットから少しずつインクを使いましょう。

耐久レースはしなくていい

インクは遠慮なくつぎ足しましょう。

ガラスペンって「つぎ足したら負け」みたいな気持ちになるんですよね。あれって何なんですかね。私だけ?

遠慮なくつぎ足して、余分なインクを落として、常に一定のインク量で書ければノンストレスですよ。

初めてのガラスペンは試し書きを!

ガラスペンとペン置き

北海道小樽市にある北一硝子は物販店舗が複数あり、そのうちガラスペンを扱っていたのは(当時)「北一プラザ」だけだったと記憶しています。

いわゆる「お土産ラインナップ」ではない品揃えで、緊張しましたわ……。

北一硝子

北海道小樽で手作り硝子の製造、販売を行う北一硝子の公式サイトです。

当時ガラスペン売り場(テーブル)は数えるほど。種類豊富というよりは「色違いがあるんだな〜」程度の印象です。

ただし、パッと見は同じガラスペンでも、よく見ると微妙に形が違うんですね。色の出方も違えば、硝子のふくらみ方も違う。

細工が多いものもあれば、シルエットにこだわっているものもある。手に取って、しっくりくる一本を選ぶべく、店員さんにご協力いただきました。

ガラスペンの最初の1本は、できれば実際に手に取って試し書きしたほうがいいと思います。1本目が気に入らないと、その後続かないから。

同じペンでも個性がある

同じ柄のガラスペンを複数並べてみると、柄の出方や伸び方が違っていたり、軸の太さが微妙に違ったりするんです。

機械生産ではないので「細字」といってもばらつきがありますし、筆圧のかけ方は個人差があります。個々人の手で握って書いてみて、納得できる一本を選ぶのがベストですね。

試し書きでフィット感と筆跡の太さチェック

ガラスペンを3本お借りして試し書き。ペンの持ち方が悪いので、試し書きって恥ずかしいんですよね……。

軸の太さが微妙に異なるだけでも、指先のフィット感が違います。それは即ち書きやすさを左右するわけです。

インクを吸わせて書いてみると、1本だけ太めかな? と感じました。ペン先のどのスリットを紙に当てるかによってもインクの出方が変わるので、指先でペンを転がしつつ……。

ガラスペンの滑らかな書き味に驚いた!

ガラスペンって、もっとカリカリした書き味なのだと思っていました。

引っかかりが強くて、下手すると先がポロッと欠けてしまうようなイメージがあったんですが、ぜーんぜん! とにかく滑らかで驚きました。

ちょうど手に持つ部分に重心があるのでペン自体の重さは感じません。でも重心がここにあるおかげでペン先には適度な重さがかかります。そのおかげで、意識して力を入れなくてもスルスル書けます

新たな気付き「河童堂さんのメモもRHODIA reverse bookも裏抜けしない」

ガラスペンのペン先

本筋とまったく関係ないんですけどね。河童堂さんのメモも、RHODIAのreverse bookも裏抜けしませんでした

RHODIAは危ないかなと思っていたんですが、まったく裏抜けなし。

さてここ数年、インクブームとかペンブームが目立ち始めてから「ガラスペンって難しくないですよ、誰でも綺麗に書けますよ」っていう言葉を目にするんです。個人的にはかなり疑問です。

美しく書くにはコツがいるし、今のところ私は全然使いこなせていません。ガラスペンでメッセージカードを書こう! とは思えない。

ガラスペン上達の近道

ペンと仲良くなり、ペンのクセを知る。そのためにはガンガン使うこと!

今回の検証で、私のガラスペンはインクの出がいいスリットが2つくらいあることに気付きました。逆に、かなり絞っているスリットもあります。それがどこなのか把握できると、この勝負には勝てる(勝負?)。

ペンと仲良くなって、ペンのクセを知ることがガラスペン上達の近道なのだと感じました。そのためにはガンガン使うこと! ですね。

S.Nakayama

一帖半執筆工房代表。 WEBコンサル・マーケ企業のフリーランスPMとして計9サイトの運営を指揮。DigitalCameraWorldの認定フォトグラファー。 現在は2社5メディアの進行管理をしながら文章校閲・校正者・ライターとしても活動中。

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