空の青が濃く、よく晴れた三月の終わり。PENTAX KPを青空に向け、その時を待った。
かすかに葉の擦れる音が聞こえ、緊張が走る。でも風は弱いままで葉も静かになった。そのうち、風が来る「予感」を知った。葉がざわつく音よりもほんの少しだけ前に空気が騒ぐ。
風の予感がした。息を止め、風の足音を聞き、カメラを向ける。葉の音を追いかけるかのように、いくつかの白さが青空へ放たれた。
クレッシェンドがかかった葉のざわめきに呼応するようにその数を増し、空を埋めていく。
息を止め、息をのむ景色を焼き付ける
青い空に、桃色の花びらは白く映る。1/1000秒の瞬間、春にだけ降る雪を閉じ込めた。
見たままの色を、見たまま伝えたい
近所の公園を抜けた先で知人と待ち合わせをしていたんです。桜はそろそろ終わりかな?と思っていたけれど「散り際が美しい」なんていう言葉にピッタリの光景を偶然目撃してしまったわけです。カメラ?持ってないよ!なによりも撮影している時間がない。
「明日も晴れてこの景色が見られますように」と願掛けをして翌日を待ったのでした。
今回の写真たちに関しては、Lightroomで多少の調整はしていますが、鮮やかさを過度にいじったり青空をとことんまで青くするなどの調整はしていません。見たまま、感じたままというよりも、カメラが刻んだまま。ですので1枚めと2枚めの青空は微妙に色が違ってしまってます。
偶然見かけた桜の景色
青空を背景にすればもちろん美しかったけれど、何気なくカメラを向けたところにも花びらが降っていて、写真に収めようと思うぐらいには美しかったですね。快晴でシャッタースピードが上げらたのは、とてもよかったです。
花の中に小さな虫が止まっていたことに気づきませんでした。画像を眺めていて「お、虫だ」と。緑と赤、クリスマスカラーのはずなのに、きちんと「春」を感じさせてくれる要因は、葉っぱの若々しさ、瑞々しさなんでしょうね。
空が背景になるように構図を調整して撮ってみたら、桃色がとっても綺麗。もう少し広い範囲にピントを合わせたかったという思いはあるけれど、色彩としてはこの上なく上品に、見たままの色で撮影できたと思います。
季節をとわず公園を訪れる鳩は、春とか、桜とか、雪とか、そういったものに何を思っているのでしょうか。まあ、何も思っていないというか、ただの自然現象として受け入れているのでしょうけれど。風が強いのは嫌だな、とか、その程度かな。
春よ、さようなら。また来年も、雪を見せてね。