4月始まりの手帳の販売がスタートし、あちこちのサイトを覗いてまわった結論です。
市販手帳で最推しを選ぶならやっぱりMARK’S EDiT スプールB7変形。自作手帳を作る根性が潰えたら、絶対スプールB7に戻ってきます。
手帳の外装はネット販売である程度分かりますが、中身については公式サイトに掲載されていないページもあるし、サイズ感もイマイチつかめないので、お店に行かないと博打だなと思っている昨今。
ということでMARK’S EDiT スプールB7変形の外観や中身、ペンとの相性などなどひっくるめてレビュー!
作りはがっしり「小さな巨人」
ポケットサイズの手帳といえば、筆者は真っ先に「高橋書店」を思い浮かべます。必要最小限! 手帳は高橋!
EDiT スプール B7変形も同じようなサイズで、B7ぐらいなら一般的な手帳が手に入ります。もっと小さいものはマンスリー+メモという限られた機能しか搭載されません。
ミニマムサイズの手帳の中で私がスプールB7を1度ではなく何度もリピ買いした理由。それは「小さな巨人」的な存在感に惚れたからです。
早速世迷い言が出始めましたね。
1日1ページ手帳では最小のB7変形・変態サイズ
褒め言葉としての「変態サイズ」です。褒めています。
スプールB7の実測外寸は縦123mm×横71mm、公式サイズは120mm×70mmとなっています。B7正寸が128mm×91mmなので、2cmほど詰まって縦長になっていますね。まぁとにかくコンパクト!
横幅は「コンパクト辞典」に近い。ちょうど手元にあった「必携・類語実用辞典」と比べるとわスプールのほうがわずかに小さい程度です。
まさに手のひらサイズです。縦の長さとして近いのはCDですね。
私の手は縦20cmほどあるのですが、それよりずっと小さい。
ただし厚みに関しては、コンパクト辞典よりも分厚い。驚きです。
表紙の剛性と高級感に圧倒される
裏表紙には「EDiT」、背表紙には「2021」が型押しされています。これだけで既に高級感がダダ漏れです。なにせ型押しできる素材なんて限られています。スプールは何とフェイクレザーですよ……。
東急○ンズで実際に触ってから購入したんですが、触った瞬間「買おう」と決めたぐらい、手触りが素晴らしい。ビニールっぽくありません。
樹脂加工が施されているそうで、ちょっと汚れた程度ではビクともしません。
また表紙はハードカバー寄りの厚みがあります。
とはいえガチガチの厚紙を使っているわけではなく、(正確な数字は分かりませんが)0.5mm厚のPUレザーと0.5mm厚の紙を貼り合わせているように見えます。
背中は厚紙を使っておらずPUレザーのみ。そのため手帳が約270度まで開きます。厚みど真ん中のページなら360度いけます。
表紙がしっかりしていて手に持ったまま筆記できるので、360度折り返して使うことはないでしょう。270度で十分です。
カラーバリエーションは豊富。周年記念とか新色とか、ちょくちょく新色・限定色が追加されるので、毎年違う色を使っても何年かかるかって感じのラインナップです。
もちろん、筆者のように気に入った1色を使い続けるのもありですな!
何でもまとめたい人に嬉しいゴムバンド
個人的にゴムバンド付きの手帳の評価は高いです。
ゴムバンドがなくてもしっかり閉じますよ! でも「ちょっと映画の半券を挟んでおきたい」「喫茶店のおかわりレシートを挟んでおきたい」ってときゴムバンドがあると安心です。
またカバンの中でパカーッとならない点も大きなメリットだと思っています。
パカーッとなったところに財布やモバイルバッテリーが遠慮なく入り込んで、紙がくしゃくしゃに……ということが実際にありました。
「ナイトブルー」には紺のゴムバンド、基本的には表紙色と同じゴム色ですが、「シャンパンゴールド」には桃色、「サンフラワーイエロー」にはグレーというように洒落たカラーリングのものもあります。
しおりは2本!分かっていらっしゃる
今日のページが開ければそれでいい。……はずがないでしょうがッ💢
手帳ではデイリーもマンスリーも毎日開きます。だからこそ私はセパレート手帳に回帰しました。「今日」のデイリーも「今月」のマンスリーもいつでも開けるように、しおりは2本必要なんです。
スプールのしおりは用紙の背中をひとまとめにするアミアミ(名前不明)に接着されています。引っ張ってもビクともしません。
用紙
ガラスペンを使ったインク裏抜け検証の際、初めて知ったんですが、スプールは「NEO AGENDA II for EDiT」という専用用紙を使っています。手触りや薄さは「ほぼ日手帳」のトモエリバーに近いかなと。
公式サイトで各種ペンの試し書きをしてくださっています。後ほど手持ちのペンで同様のテストをやってみようと思います。
万年筆インクの試し書きは下の記事でやっていますよ〜。
用紙にこだわるだけでなく、用紙の小口にもこだわりが……。なんと「ナイトブルー」の小口がシルバーなんですよ! オシャレ! 自慢したい! 「シャンパンゴールド」の小口はゴールドなんだとか。
ページ構成と各所のサイズ
公式サイトに美しいページ見本が掲載されていますが、実際に使ってみるとどんな感じなの? ってところはわかりにくいかと思います。
そこで私が気兼ねなくガンガン記入した手帳をサンプルとして、手帳の中身を紹介しまっせ。紙はくしゃくしゃ、使っている感が出ていますがお気になさらず。
年間カレンダー
なんと、2年分です。
中表紙を1ページ目とすると、年間カレンダーは2−3ページ目にあたります。横3ヶ月×縦4段レイアウトですね。
必要最小限で情報は少ないのすが、制作時に決まっている祝日はしっかり「赤」で表示されています。
オリンピック関係で祝日の変動が激しかったここ数年。「○○の日」まで細かく書いてあると修正が面倒なので、私はこれぐらいシンプルなほうが助かります。
年間プラン
こちらは4-5ページ目にあたります。1年分横12ヶ月、縦に日付、祝祭日はグレーの網掛けです。
中長期の締め切り管理に便利なのですが、私は今年出番がありませんでした。7/1の「8」が謎でしかない。
左右どちらの端にも日付を表示させる配慮がとても嬉しいですね〜。
年間ビジョン
6-7ページ目にあたります。完全フリースペースです。
意識高い女子向け手帳だと「やりたいこと10個」「行きたいところ」とか、枠でも作ってありそうですが、スプールB7は本当にシンプル。
ユーザーそれぞれが自由に使いこなすこと前提でデザインされているんでしょうね。
私は個人的なプロジェクトの概要をバッと書き出していたようです。
月間イベント
8-9ページ目にあたる1ヶ月1枠のイベントページです。横4ヶ月×縦3ヶ月ですね。これも枠があるだけのフリースペースとなっております。
ご友人のお誕生日を書いて、プレゼントを忘れないようにしたり、するんですか? 知らんけども。
私は月間報酬をクライアント別に書いていましたね! 現実的! 途中で自作セパレート手帳に移行しましたが、そちらでも同じようなことをやっていました。
文字が小さい方ならかなり書き込めます。
マンスリー
10ページ目からは手帳としての機能が登場。まずはマンスリーです。1月始まりの場合は前年12月スタートで、翌年1月まで書き込めます。
1日のマスが17mm四方で、文字が大きい方はかなり使いにくいというのが本音です。私は文字小さめ(かつ乱暴)なので問題ありません。
日付の下のマークは月の満ち欠けですね。満月とか新月とか、区切りの月齢だけ表示されているのでゴチャゴチャしません。
祝日は赤で、それ以外の「大晦日」「クリスマス」などは黒で小さく「○○の日」が書かれています。
左端は「WEEKY TO DO」です。日付が不確定な予定なんかをザックリ書いておく感じですね。メディア運営のマネジメントをやっていたときは、週あたりの目標値を書き入れていました。
右下は4マス分のスペースを使い、翌月のカレンダーとフリースペース、月の満ち欠けマークの説明が書かれています。
週をまたぐ不確定要素ってあるじゃないですか。私の場合は子どもの予定が大半ですね(個人面談や塾の講習など)。これをどこに書いておくかいつも迷っていたのですが、右下のフリースペースが最適でした。
マンスリーの記入マスは6段あるので、1マスをもっと大きくすればいいのでは? と思うこともありました。でもやっぱりフリースペースは大事。
手帳に「使われる」のではなく「使いこなす」ことを考えると、これくらいの余白は欲しいものです。
デイリー
1月始まりの場合は1月1日からスタートし、12月31日まで書き込めます。
左上には月・日・曜日、特定日についてはマンスリーと同じフォントサイズで○○の日が書かれています。ただし祝祭日でも黒文字です。
右上はお天気と気温を書くスペースがありますが、使ったことはありません。アイコンがオシャレですよね〜。
メインの書き込みエリアはドット横罫です。高さ5mm×幅61mm、ドットの間隔は3mm弱といったところ。一番左のドット以外はとても小さく、邪魔になりません。
一番左は時間表示を兼ねています。朝4時〜夜中25時まで、6時間おきに数字が書かれています。それ以外の時間はドットのサイズが少し大きめ。
実際にこの時間軸を使って感じたのは、3時間おきに数字を入れてほしかったということ。間に挟まれている5時間分「6,7,8、9時はここか」と数えていたのは筆者だけじゃないはずです。
このサイズで1日1ページって珍しいわけですが、1日1ページだったら逆にこのサイズがベストなのでは? と筆者は思うわけです。
ほぼ日手帳ぐらいの1日1ページだと「埋まらない」ことがストレスだし、もったいないなと感じることがありました。
ちょっとした日記を書き込むとか、買い物をメモするとか、ライトな使い方をするならB7で十分だと思っています。仕事のあらゆるメモを手帳に書き込む場合は、B7だと小さすぎますね。
メモ
デイリーに続いていきなりメモページが始まります。
ドットはデイリーページとまったく同じで、最上段にドット罫線が1本追加されています。
パーソナルデータ
最終ページにパーソナルデータの記入欄があります。
万が一紛失した場合、個人を特定されない方がいいと思っています。そのため何も書いていません。
ペンとの相性
万年筆ではなく一般的なペンで検証してみました! ラインナップは以下の通りです。
- Uni ジェットストリーム 0.38(青/赤)
- ZABRA SARASA CLIP 0.5(黒)
- Pentel ENERGEL-X 0.5(黒)
- ZEBRA スーパーネーム 極細
- ZEBRA スーパーネーム 細
- PILOT フリクション 0.38(青/黒)
- Uni PROPUS 細
- Uni PROPUS 太
- PILOT SUPERプチ 太
- Prodir. 0.7?
- LAMY Safari ペンシル 0.5
最下段のLAMY Safari ペンシルはシャープペンシルです。当たり前ですが裏抜けはしません。
ゲルインクは要注意
SARASAとENERGELは、さすがゲルインクだなと感じる書き心地です。スルスル書けます。
ボール径0.5mmはごく一般的なのですが、私は0.38mmばかり使っているので「0.5はこんなにヌルヌル書きやすいのか!」とびっくりしました。
ですが、ENERGELは裏抜けしていますね……。SARASAも結構ギリギリな感じがします。よく見るとわずかに抜けています。
ジェットストリームは0.38mmを使いました。ボール径が小さいのでどうしても紙をほじくってしまいます(紙に跡が付いている)。裏抜けはSARASAと同等で、よく見ると抜けている状態です。
ただSARASAもジェットストリームもじっくり見ないと分からない程度。日常使用に支障なしと判断しています。そもそも紙が薄いので裏透けしていますから、気になりません。
フリクションや一般的な油性ボールペンは安心
フリクションは問題なし! EDiT スプールでしばらく使っていましたが、消すときに紙がクシャっとなりやすいので中断しました……。
それと、事務っぽい油性ボールペンっていうんですかね。力入れないと文字がかすれる昔ながらのボールペン。今回は手近にあったProdir.で試してみて、問題なしです。
ただし、Prodir.はインク乗りが悪かったですね。ゲルインク以外の油性ボールペンは相性があまりよくないかもしれません。
ちなみにProdir.はペンハウスさんの2020福袋に入っていたと記憶しています。
ボールペン以外で装飾するのも要注意
名前ペンとしてスーパーネーム、水性ペンとしてSUPERプチ、ハイライターとしてPROPUSでテストしました。
名前ペンを手帳で使うことはないとは思いますが、検証の結果、スーパーネームは裏抜けしました。
蛍光ペンやサインペンは、囲み枠のような装飾に使うことがあるかもしれませんね。
蛍光ペンPROPUSの太字は裏抜けしました。細字はギリギリですね〜。
SUPERプチは一般的な水性サインペン。これもギリギリ抜けている感じです。どちらもインク溜まりができると厳しいと感じました。
総評
ゲルインクのボールペンは安全だと思い込んでいましたが、結構裏抜けするのだと分かりました。
スプールB7変形はとにかく小さいので、文字を小さく書きますし、密度も高くなりがちです。そうすると少しの裏抜けでも筆記に支障を来すと思います。
試しにENERGELでマンスリー1マスを埋めてみました。
これは……気になりますね。
ジェットストリームの0.5mmが試せなかったのが痛恨ですが、0.5mmだったら黒以外で試してみるか、ボール径細めを選ぶと安心かもしれません。
ただ、ジェットストリーム0.38mmも本当にギリギリなので、どうしても裏抜けさせたくないけど書き味も優先したいならフリクションがおすすめです。
いずれにせよ、メモページがたくさんあるので、試し書きしてから使うといいですよ〜。
EDiT スプールのよい点・惜しい点
こればっかりは「どう使うか」によって異なります。
デコラティブに書き込むわけではなく実用一辺倒、サッと開いてガッと書く(長嶋監督スタイル)使い方をしていた私が感じたよい点・惜しい点です。
よい点
コンパクトサイズなのに手帳としての機能がまったく損なわれていないのが、スプールB7変形のスゴさだと思っています。
スプールB6の場合は巻末に忌まわしき路線図などが入りますし、年・月間プランニングページはチェックボックスが追加されています。B7はとにかく必要最小限の機能だけ。余計な飾りがありません。
このサイズだと、外出先で開いても周囲にガッツリ見られることがなく、もちろん荷物にもなりません。
手帳って毎日持ち歩くと表紙の角が潰れたり汚れたり、透明カバーは白っぽく変色します。でもスプールはカバーが汚れにくいし潰れにくい。これも嬉しい。
喫茶店で手帳を開くことが多いんですが、やっぱりボロボロで汚い手帳をテーブルに置くのは気が引けるわけです……。
※ただし筆者は自作カバーをかけることが多く、カバーが汚いです。
惜しい点
180度開いたままにできません。書くときは手で押さえるからいいとして、ちょっと手を離すと左右のページが立って扇形に……。まぁ綺麗ですけども……。
しおりを挟んでおけばすぐ開き直せるから困っているわけではないんです。でも180度開いたままにできたら嬉しいなとは思います。
あとはミシン目入りのページが欲しいなと思いましたが、必要最小限の機能を貫いていただきたいので、胸にしまっておきます。