「来年の手帳どれにする?」的な記事が膨大に排出される年末。私(@saosaoyamayama)はChromeの「Discover」に表示される手帳関連の記事をくまなくチェックしていました。
その最中、目に飛び込んできたタイトルがありました。「手帳をプレゼントする」っていう@DIME様の記事です。
最初に申し上げておきますが記事自体は素晴らしいものです。ココが知りたい! 的なポイントがわかるし、伊藤手帳の「折りたためる手帳」なんて小さい手帳推進派はドストライクですよ。
『大人かわいいデザイン、スマホサイズ、女性へのプレゼントにおすすめの手帳5選』
気になったのは「へのプレゼント」の部分です。手帳をプレゼントされると困る人がいると思う。どうしてもプレゼントしたいなら、相手の好みをリサーチしたほうがいい。
今回はそんなお話です。@DIME様を敵に回すつもりは毛頭ございません……。
Contents
なぜ手帳をプレゼントされたら困るのか
「手帳なんて日付が書いてあって予定が書ければいい」という相手に手帳をプレゼントするのはアリだと思います。でも、デジタル優位のご時世に紙の手帳を使う女性は、手帳にある程度のコダワリを持っていると思うんです。
コダワリから外れた手帳をプレゼントされたら、困ります。いろいろと困ります。
- コダワリから外れた手帳は使いにくい
- 手帳は1年間使うもの
- 好みから外れていることを理解してもらえない
コダワリから外れた手帳は使いにくい
手帳のレイアウトにコダワリを持つ人は、数少ない取扱店にわざわざ出向いたり、ネットで取り寄せたりしても1つの手帳にしがみつきます。
なぜなら、そのレイアウトが使いやすいからではなく「そのレイアウト以外は使いにくいから」です。
使いにくい手帳を使うとタスクの見落としが起きたり、余計な手間がかかったりするかもしれません。広義で「生活に支障を来す」わけです。
「プレゼントでもらったから使わないと失礼かな……」と使命感で使う人もいるでしょうけれど、私は文房具を使うとき常にウキウキしていたいタイプなので、ちょっとしんどいです。
手帳は1年間使うもの
手帳は(基本的に)1冊を1年間使い続けます。
1月に使い始めた手帳は、2月になっても5月になっても10月になっても使っているはずなんです。
いただいた手帳を使い始めて「しっくりこないな……」と感じ、2月に別の手帳を使い始めたら「あ、この前あげた手帳、使ってないんだね……ごめんね、好みじゃなかったよね」とか言われますよ、多分。
人間的完成度が高い人は「実は万年筆でインクが裏抜けしちゃうんだよね。来年ももらえるならMDノートがいいな、みゃはっ!」とか言えるんでしょうけどなかなか難しい。
贈られたものがマフラーだったら話は別ですよ。マフラーは気分によって取っ替え引っ替えします。もらったマフラー以外を身に付けていてもおかしくありません。
でも手帳はどうですか? 気分に合わせて変えるものではありません。義理と人情で使うものでも、使っている姿を誰かに見せるものでもないんですよ💢
それと、手帳はどう転んでも手帳なので、メモやノートに転用するとめちゃくちゃ使いにくいです。とはいえ文具ラバーは「手帳を捨てると祟られる」と思っているので捨てられません(多分)。
好みから外れていることを理解してもらえない
糸かがり製本派と糊付け派、トモエリバー派とLライティングペーパー派、クリーム紙派と白い紙派、万年筆派とボールペン派。
ウィークリーはバーチカルで時間は5時始まりの2時終わり。平日より土日広めがいい。マンスリーブロックは真ん中に線が引いてあるといい。
こういったコダワリは、こだわっている人にしか理解されないと思っています。
「せっかくプレゼントしたのに、そんな理由で使わないワケ!?」とか言われても、サビ抜きの寿司にサビが入っていたら私は食べられないんですよ(?)。
【例外】シンプル手帳派にシンプル手帳を贈るのはアリ
100円ショップの手帳は月間ブロック、週間、フリースペースもしっかり設けらているシンプルなものが多い印象です。
100円で作れるはずがないクオリティですよね。頭の中がバグります。
書店に並んでいるビジネス手帳もシンプルです。レイアウト的には100均の手帳に似ている。
もし手帳を贈る相手がシンプル手帳派だったら、シンプルな手帳をプレゼントするのは大いにアリだと思います。
いつも500〜1,000円ぐらいの手帳を買っている人には、1,000〜2,000円ぐらいの手帳をプレゼントしてみるとか。
表紙のデザインや色などの好みさえ外さなければ、喜んでもらえるのではないでしょうか。
ちなみに、今まで私が「これぞシンプル」って感じた手帳が2つあります。
ティーズビュー インデックス|高橋書店
まずは高橋書店の手帳です。病院勤務のときに持ち歩いていたのが「ティーズビュー インデックス」のウィークリーでした。
シンプルなレイアウトなのですが、見た目が地味すぎることもない。
おそらくは罫線の色とか数字の大きさ・フォントなどにものすごくこだわっているんだろうなと思います。
というのも、小さい文字が潰れていないし視認性が高いんです。だからって「漆黒と白」のような強すぎるコントラストがなくて目に優しい。
インデックス(見出し)が頑丈で折れたり切れたりする心配はありません。ただビニール素材のペンホルダーは半年ぐらいで裂けちゃいました。
ウィークリー手帳 ポケットサイズ ソフトカバー|モレスキン
こちらはモレスキンのウィークリーです。伊勢佐木町の有隣堂のワゴンに突っ込んでありました。
12ヵ月ではなく18ヵ月のタイプです。
高橋の手帳より色数が少なくてよりシンプルですが、高橋の手帳よりもやや見づらい。
週間ページはレフトタイプ、土日が小さめにできています。
紙質は抜群に良いですよ。書き味最高。万年筆とは相性悪いんですが、ボールペンだとスルスル書けます。
それでも手帳をプレゼントしたいならココを外すな!
どうしても手帳をプレゼントしたい! でも失敗したくないし、できれば1年間使ってほしい。
そこまで高い志をお持ちなら、まずは相手が今使っている手帳について事前リサーチをしっかり行いましょう。適当に選ぶのは本当にリスクが高いと思うので……。
リサーチの観点はいろいろありますが、代表的なものを挙げてみましょう。
- 月間ページのレイアウト・開始曜日
- 週間ページのレイアウト・土日スペース・メモ
- 1日1ページ愛好家かどうか
週間ページのレイアウトだけでザッと3タイプあります。働き方・生活時間帯などによって使いやすいレイアウトが異なるので、適当に選ばないほうがいいですね……。
見慣れた月間ページも実は手帳によって違いがあるし、1日1ページ手帳を愛用している人はおそらく1日1ページ手帳以外使わない。
週間レフトは門戸が広い
左は予定記入用、右はフリースペースというのが「週間レフト」の基本レイアウトです。
時間軸が設けられていないので、時間の縛りがない生活スタイルのかたに向いていますね。
私はレフトに無理矢理時間軸を作って運用していたことがありましたが……(画像参照)。
左側は1日のTODOやちょっとしたメモ、ひと言日記を書き入れるなど仕事でもプライベートでもマルチに使えます。
時間軸がないと困る! って人にレフトの手帳を贈ると喜んでもらえないのは確実です。
それと、ちょっとした走り書きでも必ず日付と紐付けておきたい人には、広いフリースペースが鬼門だと思います。
あとは土日の大きさですね〜。土日が極端に狭い「土日お休みワーカー」向けか、逆に土日が広いアクティブ休日派か、で好みが分かれます。
レフトの代表格といえば「ほぼ日weeks」でしょうか。ほぼ日手帳は紹介しないつもりだったのにあっけなく敗退。
この表紙は反則でしょうが💢 表紙がハチャメチャに素敵です……。
こういった手の込んだデザインの場合、翌年に同じものは出ないはず。買いたいときが買い時ってやつです。
ほぼ日weeksの週間ページはすべての曜日が同じ大きさで、フリースペースは方眼です。
英語版もあるようだし、4月始まりの販売も予定しているっぽいですよ〜。
スタンプやシールが映える週間ホリゾンタル※1
※1:広義のホリゾンタルには週間レフトが含まれますが、ここではレフトを含まず書いています。
ホリゾンタルはレフトと同じく記入スペースが横長です。
レフトよりも記入スペースが広いので、ひと言日記や日々の記録(食べたものとか)にピッタリだと思います。時計シールを貼っている人もいるようですよ。
イラストを描き入れて華やかにしたい人にもホリゾンタルが向いていそうです。
フリースペースがないので、ダイナミックに落書きしたい場合は別ページ・別ノートが必要です。
また土日スペースの広い・狭いで好みが分かれます。どうして1週間は7日なんですかね……(哲学)。
なお、時間軸必須の人にホリゾンタルの手帳を贈るのはやめておきましょう。
私の自作手帳はホリゾンタルです。
それはさておき、トラベラーズノートにもホリゾンタルがあるんですね! レフトしかないと思い込んでいました。
トラベラーズノートのウィークリーリフィルは、サイズごとにレイアウトが異なります。
- A5スリム:レフト
- パスポートサイズ:ホリゾンタル
また、自分で日付を書き込む「フリー」タイプもあります。
トラベラーズノートの中身は色数が少なくてシンプルなんですが、セリフ系フォント・クリーム系用紙なのでどこかクラシカルでかっちょいい。
自作手帳に行き着かなければ私はトラベラーズノートを使っていたと思います。
週間バーチカル
バーチカルは1日のスペースが縦長で、時刻が振ってあるのが特徴です。
時間軸に沿ってマーカーや線を引いておくと、予定はもちろんのこと空き時間もパッと把握できるんですねよ。
ミーティングが多い人やWeb講師をやっている人など、時間がついてまわる人に便利なレイアウトです。
GoogleカレンダーやMacのカレンダーの週表示と同じっちゃ同じです……。
バーチカル最大の問題は「何時から何時まで書けるか」問題です。
一般的なバーチカルだと7時〜8時あたりから、夜は23時ぐらいかな。
でも日を跨いで働く人もいますし、朝もはよから仕事する人もいるわけで、バーチカルをプレゼントするのは結構難易度高いです。時間を自分で書き入れるタイプだと融通が利くかな〜。
バーチカルはメモスペースが犠牲になりがちなんですが、MARK’Sから面白いバーチカルが発売されていたので紹介しておきます。
上半分に時刻を書き入れれば一般的なバーチカルとして使えます。時刻を入れずに自分なりの使い方を探してもよし。自由度が高い手帳です。
サイズがセミA5のみっていうのがちょっと残念。
月間ブロックは開始曜日と犠牲曜日をチェック
月間ブロックは月曜始まりと日曜始まりに分かれます。一番左のブロックが何曜日か、って話です。
土日ぶち抜きの予定が入る場合は、土日をまたいで線が引ける月曜始まりがいいですよね〜。
ただ、1週間の始まりは日曜日なので「第○週目」を数えるときは日曜起算です。仕事でよく「第○週目」を使う場合は日曜始まりがいいかも。
それと土日の幅が広い・狭いの差もチェックポイントですね。土日を犠牲にするのか平日を犠牲にするのか。
【例外】イレギュラーな人もいる
超絶イレギュラーパターンとして、ブロックを使っていない人もいます。私は以前月間バーチカルやガントチャートを使っていたことがあります。使っていた? 作っていた?
月間バーチカルは縦方向に日付が入っていて、横長のセルに予定を書き込みます。予定が少ない人、週間ぶち抜きの予定が入る人には便利なレイアウトです。
今日から締め切りまであとどれぐらい……というのがパッと見てわかりやすいのがメリットで、これにより自分を精神的に追い詰めることも可能。
こういう人は日頃から暇さえあれば手帳をいじっているはずなので、何だか見慣れないレイアウトの手帳だなと気付いたら要注意ですよ。
手帳マニア・文具マニアへのプレゼントは細心の注意を
手帳にこだわる人はレイアウト以外にもコダワリポイントがありますね〜。
- 紙質
- 用紙の色
- 製本
- 方眼や罫線
- ペンホルダー
- しおり
紙質として有名なのがほぼ日手帳※2の「トモエリバー」です。
※2:トモエリバーを使ったほぼ日手帳は2023年まで。2024年からは用紙が変わります。
私がリピ買いしたMARK’SのEDiT1日1ページタイプは「NEO AGENDA for EDiT」という紙が使われています。でも週間バーチカルは「NEO AGENDA」です。
何が違うのか。書き味はもちろん手帳に使うペンとの相性、インクの裏抜け、色、インクの退色、薄さ、手触り、いろいろ違うんです。
製本は糸で止めている糸かがり、糊付け、薄いものならホッチキスの中綴じもありますね。システム手帳はリング。分厚い手帳はページがしっかり開かないと使いにくいので、製本も重要です。
方眼か罫線か。私は方眼か無地が好きです。線を意識せずに書く「書き殴り派」に所属しているので。
ペンホルダーとしおり! これは見逃せません。
ほぼ日手帳は「バタフライストッパー」を採用していて、ペンを収めれば手帳が開かない。これをパクって自作手帳のカバーを作りました。
ビニール製のペンホルダーは半年ぐらいで破けるので、別売りのペンホルダーを買うこともありました。
ペンケースを持ち歩く人はペンホルダーが邪魔になるかもしれません。
しおりは本数がキモかと。月間と週間それぞれ1本使うなら最低2本、デイリータイプなら3本必要です。私の自作手帳(セパレート)は月間と週間を上下で同時に開くので、しおりは1本あれば事足ります。
しおりの後付けは難しくて、挟むタイプのしおりはすぐなくしたり折れたりするので、最初からしおりが練り込まれているほうがいいですね〜。
というように、ここまでガタガタ言う人を見ると「自分で買えや!」ってなりますよね。だから、自分で買いたいんです。
- この手帳はインクが裏抜けするからペンを買い替えよう
- このペンで裏抜けしない手帳を探そう
どちらもいます。めんどくさいでしょ。
自分の好みに合う手帳をあれこれ探してドンピシャな1冊に出会ったときの喜びは、あなたと出会ったときの喜びを超えますに次ぐ喜びです。
文具好きな人に文具を贈るなら手帳以外の「紙」はどうですか
手帳談義で2泊3日できるような相手に手帳をプレゼントするのは、防塵防滴ではないカメラで雪景色を撮影したあと暖房の目の前にカメラを置いておくぐらい危険です(結露)。
それでも何か喜んでもらえる文具を贈りたい。そんな素敵なあなたにご提案。ちょっといい「紙」の文具、どうですか。
(贈りたいだけなら私に贈っていただければ)
書きやすくて慌てたMDノート
誕生日プレゼントで新書サイズの無罫タイプをいただいたことがあります。
万年筆のEF(極細)にも動じない強さを誇ります。めちゃくちゃスゴい。全然裏抜けしない。そして書きやすいのに滑らない。
文庫サイズならどなたでも使いやすいのではないでしょうか。お財布に優しいので、ノートカバーもセットで贈るとかどうでしょうか。
鈍器なノート|アピカの紳士なノート
アピカの公式ページから、ハードカバーバージョンが消えております。無念。
「鈍器なノート」って呼んでいた「紳士なノート」です。用紙の滑らかさでいえばMDノートを超えていると思う。スルスル〜っと書けます。
「月間バーチカル」に登場したノートがコイツです。書き心地が良すぎてリピ買いしました。コンパクトなB7が選べたのはかなり刺さりました。
贈る気持ちが大切とはいえ相手を困らせないことも重要
相手が喜ぶ姿を想像しながら手帳を選ぶわけですから、贈られた側はそれだけで嬉しいですよ。
でも、贈られた「モノ」が嬉しいとは限らないわけで、できれば顧客満足度100%にしたいじゃないですか。
サプライズプレゼントでなければ、ぜひ相手のコダワリを聞いたうえで選んでください。
ノートやメモはもらって困らないし、手帳と違って「いつでも」使えます。私ですか? うーん、LIFEのノーブルノートの分厚いヤツが欲しいです。
最後に@DIME様、ありがとうございました。