「コイツ何言ってんだ、正気か?」と思われても仕方がないダイナミックなミスをやらかした私(@saosaoyamayama)です。
大して稼いでいないのに、国民健康保険料が毎月4万円近いのはおかしいのではないか? みんなこんなに苦しい思いをしながら生きているのか? と不思議でならなかったんです。その理由が判明!
確定申告する時に「社会保険料控除」を入力していなかったのでした……。信じられない、フリーランス何年目だよ……。でも人生は1回目だから仕方ないよね!
ということで今回は、確定申告の時に記載し忘れた「社会保険料控除」をさかのぼって適用(更正請求)したお話です。あまり需要がないとは思いますが、万が一の備えとして、置いておきます。
なお、今回説明するフローで実施した更正請求は、無事受理されました!
文章を読むのが面倒な方は、Notebook LMのポッドキャストでお楽しみください!
Contents
会計ソフトを十分理解せず使っていた報いィィィィ!
青色申告をかれこれ数年やっていますが、令和6年分の申告で初めて「社会保険料控除が適用されていない」ことに気付き、血の気が引きました。屈強な男たちの地引き網漁ぐらいのとんでもない引き方でしたね。
どの会計ソフトも同じかもしれないのですが、私が使っているソフトは「社会保険料控除を受ける」の小さなラジオボタンを押すと詳細が表示され、選択すると最初に「源泉徴収票に記載された社会保険料以外に〜」という文章が出てきます。
私の頭の中では「源泉徴収=会社員のモノ」と認識し、自分の保険料は役所が全部把握していて処理してくれるのだろうと思い込んでいたのでございます……。人生1回目だから仕方ないよね、うん。
なお更に先まで選択を進めていくと、見慣れた「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」の画像と説明書きが展開されるんです。
コレを!先に!見せんかいッ💢
いや、全部私が悪いんだよ……。ちなみに私はずーっとやよいの青色申告オンラインを使っています!

さかのぼって控除する(更正の請求)手続きに必要なもの
一度確定申告した内容を変更することを「更正」または「修正」と呼びます。この2つはまったく別ものです。
- 修正:お金を追加で支払うような変更
- 更正:お金を還付してもらう変更
更正はお金を返してもらう手続きなので税務署の審査が厳しく、決定までに時間がかかるうえ、申請が通らない可能性もあります。私は令和4・5年分社会保険料控除の更正請求を実施し、無事還付が決まりました。
今回の更正請求に必要だったものを挙げておきます。
- e-Taxログイングッズ(マイナンバーカードやスマホなど)
- 社会保険料控除証明書、もしくは支払い額がわかるもの
- 更正手続きしたい年の確定申告書・所得税青色申告決算書(一般用)
- ふるさと納税した場合は納税日と金額(自治体ごと)
これらが必要でした。もうちょい詳しく書いておきます。
e-Taxログイングッズ(マイナンバーカードやスマホなど)
e-Taxのシステムを使うので、マイナンバーカードの読み取り環境は必須です。
それに加えて、マイナポータルの外部連携を許可しておくのがオススメ。これをやっておくと、更正請求手続きで必要になる各種証明書データを、マイナポータルから引っ張ってきてくれるそうです。
私はふるさと納税、国民年金、医療費が連携済みになっていますが、実感として「何をどう連携してくれるのかイマイチわからん」という印象。結局必要な書類は郵送せにゃならんのかい💢
社会保険料控除証明書、もしくは支払い額がわかるもの
更正請求したい年分の社会保険料控除証明書を用意しましょう。今後電子発行に切り替わるようなので、上の項で紹介した「連携」がマストになりそうですね。
私のケースでは、国民年金と国民健康保険料の控除証明書が必要でしたが……(続く)。
社会保険料控除証明書を紛失した場合
なぜか令和4・5年分の国民健康保険料の証明書が手元にありませんでした。多分捨てた。マイナポータルから金額の確認はできません。マイナ、お前そういうとこだよ💢
そこで区役所の保険年金課に問い合わせてみたところ、電話口で調べて教えてくれました! 電話をかける時は、健康保険証やマイナンバーカードを手元に用意しておきましょう。
後に説明しますが、社会保険料控除証明書は郵送する必要があるので、お時間がある方は役所に行って再発行してもらうのが確実です。時間がない方は、保険料の支払いが証明できるもの(領収書や口座の入出金明細など)を印刷して提出することになります。
更正手続きしたい年の確定申告書・所得税青色申告決算書(一般用)


確定申告書(左)・所得税青色申告決算書(右)の両方が必要でした。紙に印刷する必要はなく、パソコンやスマホで閲覧できれば問題ありません。
電子帳簿保存法に則って経理処理している人は、PCに保存済みでしょうか。
ふるさと納税した場合は納税日と金額(自治体ごと)
社会保険料控除の更正請求をする時は、社会保険料以外の控除項目も再入力させられるようです。そのうちの一つが「ふるさと納税」。ということで以下を確認しておきましょう。
- 納税日
- 自治体
- 金額
なお、マイナポータルとふるさと納税が連携済みなら、自治体と金額はわからなくても大丈夫です。「納税日」だけわかればどうにかなりました(後述)。
社会保険料控除の更正請求をやってみた×2年分
今回は令和4年分・令和5年分の2年分について、それぞれ更正請求しました。大まかな流れは以下のとおりです。
- 更正請求する年を指定・マイナポータル連携
- 修正前の確定申告書データを入力
- 修正したい項目を選択
- 目的の項目を修正
- 関連する項目を修正
- 請求する理由を記入
- 還付の受け取り方法選択
- e-Taxでデータ送信・データの確認・郵送書類の確認
- 書類郵送
「修正前後の金額を入れるだけだから簡単ですよ」と書いてある記事を読んだんですが……それはない。百パーないって五条先生も言っていた(呪術廻戦)。
順を追って説明しますが、念のためご注意いただきたいことがあります。
今回更正請求がうまくいき、還付が受けられることになりました。そのため、これから記載する手順に間違いはないはずです。ただし、控除の種類が異なれば入力箇所も違ってくるわけなので、あくまで「参考」と捉えてください。
1. 更正請求する年を指定・マイナポータル連携

作業の入り口は、国税庁確定申告書等作成コーナーです。iPhoneで更正手続きをする方は、ブラウザをSafariにしましょう。
TOPページに「提出した申告書に誤りがあった場合」という項目がありますので(画像中央)、メニューを開いて「新規に更正の請求書・修正申告書を作成する」を選びます。
続いてマイナンバーカードの所持確認などした後「作成する年分の選択」画面に遷移。画像右では令和5年分を選択しています。令和4年分を更正請求した後だったので「作成済み」の赤字がありますね。

次に、マイナポータルとの連携を選択します(画像左)。私は「連携する」を選択しました。あらかじめマイナポータルと各サービスを連携しておく必要がありますのでご注意ください(連携しなくても申請はできます!)。
連携選択後、同意画面とマイナカード読み取りログインを経由すると、連携データが表示されるはずです。画像右のキャプチャには医療費とふるさと納税の連携データが表示されています。
電子的な証明が連携できるだけで、ここに表示されるデータが自動で入力されるわけではありません。ふるさと納税の金額等はどこかにメモしておきましょう。
もしかしたら後で使うかも……と思うものはメモするか、キャプチャを撮るかしておくと安心っす。
2. 修正前の確定申告書データを入力

ここからは「所得税及び復興特別所得税の申告書 第一表」をベースに進行していきます。お手元(パソコンやスマホ)には更正請求する年分の第一表データを用意しておきましょう。
確定申告の更正をざっくり説明すると、「申告済みデータと更正したいデータ」=「ビフォー・アフター」を書いて提出する作業です。
まずは「修正前入力」という工程に入ります。第一表の数字をそのまま転記していく作業です。入力画面に「営業等の所得金額※申告書第一表の(1)の金額」と書いてあったら、第一表の①の金額を記入します。()の数字と丸囲みの数字が対応しているわけです。
なお、確定申告のdatファイルを保存している方は、手入力せずアップロードでOK! これなら入力ミスが避けられますね。
年によって第一表の丸囲み数字が変わるようです。「申請準備-1」で○年分の選択を間違いなえないようご注意ください。
3. 修正したい項目を選択

「修正項目の選択」画面が開くので、修正したい項目にレ点を入れましょう。今回は「社会保険料控除」です。
続いて修正後の金額を入力していくんですが、ここで結構手が止まってしまいました……。というのも、社会保険料控除以外の項目にも「入力する」ボタンが表示されたり、「入力項目ではありません」となっている項目もあったり。
自動計算される項目もあるはずなので、まずは社会保険料控除に正しい金額を入力してみることにしました。
4. 目的の項目を修正

まずは「証明書等の内容を入力する」というボタンを押すところからスタート。次にプルダウンから社会保険の種類を選び、下に保険料を入力する、というのを必要な回数繰り返します。
証明書が手元にあれば楽勝ですね! 私は年金保険料と国保の保険料なので、2回入力しました。
5. 関連する項目を修正

社会保険料の控除金額を入力し終えてから、他の項目をザッと確認してみました。すると、明らかにおかしい項目が……。
- ふるさと納税の控除額が0円
- 第3期分の税額が0円
- 青色申告特別控除額が0円 など
ふるさと納税については「入力する(訂正する)」から再入力しました。
- 納税日
- 自治体名
- 寄附金額
こちらが必要でしたので、手元に用意しておきましょう。
第3期分の納税額は手入力が許可されておらず、どこか別の項目を正しく入力すれば税額が表示されるはず……! と思って探ってみたところ、原因は青色申告特別控除にありました。青色申告特別控除額が未入力だったことに気付かず先に進めようとしたところ、アラートが出現したんですよね(画像右)。

ということで、青色申告特別控除の項目で「入力する」を押してみたところ、事業所得の入力を求められました。事業所得入力に使うのは「所得税青色申告決算書(一般用)」です。第一表ではないのでお間違いなく!
決算書に記載されている金額2つ(A・B)を入力することで、青色申告特別控除額が入力できるようになります。これを入力したところ、第3期分の納税額も正しく表示されました。
6. 請求する理由を記入 7. 還付の受け取り方法選択

必要なデータを入力し終えると、次の画面で還付金額が表示されます。あまりにも多すぎる・少なすぎるなどがあれば、ご自身が入力した申告データを見直してみましょう。
続いて、更正請求全般の情報を入力していきます。まず「請求の理由」のうち「目的」ですが、ちょっとニホンゴムズカシイ。確定申告を正しくすることが目的なので「確定申告」を選択しました。次の「日付」は、確定申告した日付です。
その次の入力欄には、なぜ更正請求するのかを文章で記載します。といっても自分で考える必要はなく、入力欄の上にあるリンクから例文が確認できるので、アレンジして入力しましょう(確かコピペはできなかったはず)。
続いて、通知を受け取る方法や通知内容を選択します。私は電子交付にしました。メールで通知がくる→e-Taxにログインして内容を確認する、というのがちょっと面倒ではありましたが、即時性は高いのでまあヨシとしましょう。
還付金の受取については、ご自身のご希望に合わせて設定してくださいね〜。公金受取口座を指定済みであれば、これがラクかなと思います。
また、このあたりの工程のどこかで、送信データの事前確認が行われます。その際、提出が必要な書類について何らかの手続きが必要だったのかもしれません。私は送信データの確認だけやって提出書類についてはスルーしてしまい、キャプチャも撮影していませんでした……。
8. e-Taxでデータ送信・データの確認・郵送書類の確認

ここまで入力したすべてのデータを、e-Taxで送信します。これで終わり! と思うのはまだ早くてですね。
送信後の画面から「次へ」を押すと、提出が必要な書類がないか確認してね〜と書かれていました。「申告書等を表示する」を押すと、以下3つの書類が1つのPDFにまとめられていました。
- 令和○年分の申告書等送信票(兼送付書)
- ○年分所得税及び復興特別所得税の更正の請求書
- 令和○年分更正の請求入力情報
このうち、送信票の中段に「添付書類の提出」と書かれた表があります。

更正請求で社会保険控除を更正する場合、社会保険料控除証明書の提出が必要でした。私は証明書を提出しなかったため、申請から2ヵ月後(5月の中旬)に税務署から「書類足りないよ」とお手紙が送られてきたのでした……。
9.書類郵送
郵送が必要な書類がある場合は、「令和○年分の申告書等送信票(兼送付書)」に記載されている管轄税務署に郵送しましょう。私のように郵送し忘れた場合は、「書類不備」として税務署から連絡が来ると思いますが、その分還付が遅くなります。
さて、提出書類が用意できない場合はどうするか、です。私は国民健康保険の控除証明書が手元になかったため、税務署に確認してみました。
その結果、支払いが証明できるなら別の書類でも良いとのことでした。たとえば保険料を支払票で支払っている場合は、半券(領収書)やレシートが手元に残っていないでしょうか。私は口座引き落としで支払っているので領収書もありません。相談したところ、口座の入出金明細でもOKとのこと! 2年分印刷して郵送で提出しました。
2年分ともなるとかなりの枚数だったんですよね。税務署からのお手紙の中に、書類提出用の封筒が同梱されており、切手不要だったのはありがたかったです。
参考情報が少なくても申請がうまくいった=カンタンなのかも……しれない

更正請求について書いてあるWeb記事はあるんですが、専門家の方が書いていて難しかったり、明らかに内容や様式が古く参考にできない記事だったりしました。
そのため「更正請求ができる」という事実だけ確認して、あとはほとんど参考文献なしで進めていきました。それでも更正請求がうまくいったということは、誰でもできる・カンタンフローなのかもしれませんね。
Webでの請求は手軽で便利ですが、内容が正しいかどうか確認するすべがありません(税務署に電話すればよかった?)。不安な方は税務署に行って相談するのが確実です。
とにもかくにも、更正請求なんてやらなくて済むように、確定申告を正しくやりましょうってことですね! 肝に銘じます……。やよいの青色申告オンライン、安いし使いやすいので激烈オススメです。
